「マサキの冒険4」
2008年 11月 24日
「マサキの冒険4」
「ここがアセドの町よ」
そこはマサキが考えていたよりも、凄い光景が広がっていた。まるでゲームで見たことがあるような光景が目の前にあるのだ。マサキは興奮した。
「何、そんなに鼻息を荒くして。そんなに珍しくないわよ。さ、ここよ」
アリシャの施された場所はこじんまりとした店だった。入り口はよく西部劇に見られる酒場みたいだった。マサキはその扉を押し、中に入ってみると
案の定そこは酒場だった。
「何入り口で突っ立てるの?さ、こっちよ」
アリシャはずかずかと言っていいほど床を踏み鳴らし、汚い言葉が飛び交う酒場の奥へと入っていった。マサキも遅れまいと後を着いていく。
途中、戦士風の男に呼び止められた。
「よお、兄ちゃん。おかしな格好してるな。ひひっ!ちょっと、その上着俺にくれよ」
やっかいだな、とマサキは思った。酔っ払いはどの世界でも性質が悪いという事を認識した。マサキは酔っ払いを一瞥すると再びアリシャの後について行く。
「なんだよ、兄ちゃん。くれないってでも言うのか?それともそのお腰にかけた剣で正々堂々と俺とやるかい?」
「マサキ、そんな挑発は無視しなさい。それにたいしてその男は強くないわ。あなたなら余裕で勝てる」
「あぁ!なんだとこのクソ女ぁ!」
挑発するなと言っておきながら自分から挑発したアリシャ。やっかいだし、めんどくさいと思ったマサキは素直に上着を脱ぎ、男に突きつけた。
「今更こんなのいるかよ、クソが。てめぇ、俺をバカにしてるだろ、表に出ろ!」
「余計なことして・・・・。いいわ、あたしが相手になってあげる!」
「は、クソアマが!ひーひー言わせて俺のムスコが腐るほど犯してやる!」
かくして酔っ払いとアリシャの戦いが始まった。男は両刃で長い剣、バスターソードとでも言うのだろうか、それを軽々と片手で構えていた。
たいしてアリシャは背中の細身の剣は抜かず、ただ立っているだけだ。
「なめやがって、うおぉらぁ!」
酔っ払いは酔っ払いとは思えないような動きでアリシャに向かってバスターソードを振り下ろした。必殺の一撃とも言えるその一撃をアリシャは紙一重で避けた。
素人のマサキから見てもそれは思わず声があがりそうだった。続けて酔っ払いは振り下ろしたバスターソードを返す力でアリシャの顔面を狙った。
それを軽々とバックスッテップでアリシャはかわし、背中の細身の剣を抜いて一気に酔っ払いに向かって突進していった。剣を引きずるような形で突進している
アリシャだが、酔っ払いとの間合い1mのところで一瞬にして体を止め、剣を横に薙いだ。酔っ払いはまだバスターソードが上空を指したままだったが、
なんとかアリシャの一撃を防ごうと、防御体制に入った。だが、それよりもアリシャの一撃は早く、酔っ払いの防御は間に合わなかった。
ザシュ!
アリシャの剣は酔っ払いのわき腹の皮一枚のところで止まっていた。わき腹からは少量の血が流れている。
「参った、降参だ。もうちょっかい出さないから勘弁してくれ」
酔っ払いは泣きそうな顔で懇願していた。
「・・・・そう、じゃあ有り金置いてここから失せなさい。さ、早く!」
男はアリシャの言われるがままに持っている金、金貨1枚と銀貨5枚、そして銅貨10枚をアリシャに差出して逃げるようにその場を去った。
「邪魔が入ったわね。さ、中に入った入った」
アリシャはマサキの背中を押し、店の奥へと入っていった。
「何から話していいのか、ちょっと悩むわね」
アリシャは眉間に皺を寄せながら、難しい顔をしていた。
「そうね、まずこの世界は今、ある危機に晒されているわ」
そう言いながらテーブルに置かれたビールを飲むアリシャ。マサキは彼女がビールを飲んでいいのか、それが気にかかった。
「あぁ、別にいいのよ。マサキの世界ではどうだかは知らないけど、私たちが住む世界、レイスランドにはそんな決まりはないから。
後、私はこう見えても18なんだから」
18、その単語にいささか興奮を覚えるマサキだが、それは頭の片隅において置いた。
「話しを戻すわね。このレイスランドは今、魔族と人間との戦いが起こっているの。大地は割れ、草木は枯れて作物も年々取れなくなっているわ。
それもこれも魔族との戦いのせいなの。魔族はこのレイスランドから人間を排除し、魔族だけの世界にしようとしているわ。
そうなれば全ての植物は枯れ、動物達は皆死んでしまう」
マサキはいきなりの突拍子な話しであまりついていけてはいないが、とりあえずは頷いておいた。社会人として身に着けたスキルの一つである。
「魔族との戦いは今人間側が厳しいことになってるの。何せ魔族は無限かと思えるくらい出てくるから。あと半年もしないくらいで人間側が追い込まれるわね」
目を細め、ジョッキを強くアリシャは握り締めていた。マサキはアリシャの話しの間にビールを三杯くらいのみ、どちらかと言えば酔っ払っていた。
「そして人間側はある一つの決断を下した。今のままでは魔族には勝てない。だから圧倒的な力を持つ者をこの世界に呼び、その者に世界を救ってもらうと」
マサキは完全に酔っ払い、話しのほとんども理解はしていなかったが、相槌を打つことだけは忘れなかった。
「異世界の住人はレイスランドに召還されると、特別な力を得ることがあるわ。非常に稀なことなのだけれども、マサキ、あなたは特別な力をもっているわ。
理由はこれよ」
そう言ってアリシャは腰に下げていたポーチからビー玉より一回り大きい、ラムネ色の玉を取り出した。
「この玉は貴方みたいな召還された人間にたいして効果を発揮するの。いい、ちょっと見ててね」
アリシャはその玉を指でつまみ、マサキの目の前に突き出した。その瞬間、遠吠えが聞こえた。草原で聞こえていた遠吠えがマサキの耳に響いていた。
「この玉は獣の宝玉というわ。特別な力を持つ人間が近くにいると獣の遠吠えで反応を示すの」
酔っ払いながらも、なんとか理解を示したマサキ。まさか草原で聞こえた遠吠えで自分の力を知るためのものだとは思ってもいなかったので、マサキは
驚き、少しビールをテーブルに噴出した。
「汚いわね。けど理解してくれたかしら。お願い、マサキ。今この世界を救えるのは貴方しかいないの。力を貸してちょうだい」
マサキは快く引き受けようとしたが、何点か疑問に思ったことを聞いた。
「え、あぁ、あなたの特別な力について?それは私にもわからないわ。それはこれからの戦いでわかるとは思うけど、正直今の段階でどんな力かは
私にもわからにの。ごめんなさい」
そういって顔を伏せた。だが、まだ疑問は全部答えてもらっていなかった。
「ごめんなさいね。えと、元の世界に変える方法ね。それはあなたがこの世界を救ってくれたら帰してあげるわ。勝手なことだとは思うけど、お願い」
潤んだ瞳でマサキを見つめるアリシャ。マサキはよく父親に女を泣かせることは最低だと教えられていたので、しかたなしにアリシャの頼みを引き受けた。
「ありがとう、マサキ!改めてよろしくね!」
そういって手を差し出したアリシャ。マサキも手を差し出し、握手を交わした。どこの世界でもこういった事は握手なんだなと、マサキは思った。
「改めて言うわね。私の名前はアリシャ。あなたを待っていた、そしてこれからの戦いを一緒に戦う者よ」
にっこりと微笑むアリシャをマサキは見つめ、いつしか握手していた手は彼女の手を固く握り締めて、痛いといわれ怒られていた。
続く
「ここがアセドの町よ」
そこはマサキが考えていたよりも、凄い光景が広がっていた。まるでゲームで見たことがあるような光景が目の前にあるのだ。マサキは興奮した。
「何、そんなに鼻息を荒くして。そんなに珍しくないわよ。さ、ここよ」
アリシャの施された場所はこじんまりとした店だった。入り口はよく西部劇に見られる酒場みたいだった。マサキはその扉を押し、中に入ってみると
案の定そこは酒場だった。
「何入り口で突っ立てるの?さ、こっちよ」
アリシャはずかずかと言っていいほど床を踏み鳴らし、汚い言葉が飛び交う酒場の奥へと入っていった。マサキも遅れまいと後を着いていく。
途中、戦士風の男に呼び止められた。
「よお、兄ちゃん。おかしな格好してるな。ひひっ!ちょっと、その上着俺にくれよ」
やっかいだな、とマサキは思った。酔っ払いはどの世界でも性質が悪いという事を認識した。マサキは酔っ払いを一瞥すると再びアリシャの後について行く。
「なんだよ、兄ちゃん。くれないってでも言うのか?それともそのお腰にかけた剣で正々堂々と俺とやるかい?」
「マサキ、そんな挑発は無視しなさい。それにたいしてその男は強くないわ。あなたなら余裕で勝てる」
「あぁ!なんだとこのクソ女ぁ!」
挑発するなと言っておきながら自分から挑発したアリシャ。やっかいだし、めんどくさいと思ったマサキは素直に上着を脱ぎ、男に突きつけた。
「今更こんなのいるかよ、クソが。てめぇ、俺をバカにしてるだろ、表に出ろ!」
「余計なことして・・・・。いいわ、あたしが相手になってあげる!」
「は、クソアマが!ひーひー言わせて俺のムスコが腐るほど犯してやる!」
かくして酔っ払いとアリシャの戦いが始まった。男は両刃で長い剣、バスターソードとでも言うのだろうか、それを軽々と片手で構えていた。
たいしてアリシャは背中の細身の剣は抜かず、ただ立っているだけだ。
「なめやがって、うおぉらぁ!」
酔っ払いは酔っ払いとは思えないような動きでアリシャに向かってバスターソードを振り下ろした。必殺の一撃とも言えるその一撃をアリシャは紙一重で避けた。
素人のマサキから見てもそれは思わず声があがりそうだった。続けて酔っ払いは振り下ろしたバスターソードを返す力でアリシャの顔面を狙った。
それを軽々とバックスッテップでアリシャはかわし、背中の細身の剣を抜いて一気に酔っ払いに向かって突進していった。剣を引きずるような形で突進している
アリシャだが、酔っ払いとの間合い1mのところで一瞬にして体を止め、剣を横に薙いだ。酔っ払いはまだバスターソードが上空を指したままだったが、
なんとかアリシャの一撃を防ごうと、防御体制に入った。だが、それよりもアリシャの一撃は早く、酔っ払いの防御は間に合わなかった。
ザシュ!
アリシャの剣は酔っ払いのわき腹の皮一枚のところで止まっていた。わき腹からは少量の血が流れている。
「参った、降参だ。もうちょっかい出さないから勘弁してくれ」
酔っ払いは泣きそうな顔で懇願していた。
「・・・・そう、じゃあ有り金置いてここから失せなさい。さ、早く!」
男はアリシャの言われるがままに持っている金、金貨1枚と銀貨5枚、そして銅貨10枚をアリシャに差出して逃げるようにその場を去った。
「邪魔が入ったわね。さ、中に入った入った」
アリシャはマサキの背中を押し、店の奥へと入っていった。
「何から話していいのか、ちょっと悩むわね」
アリシャは眉間に皺を寄せながら、難しい顔をしていた。
「そうね、まずこの世界は今、ある危機に晒されているわ」
そう言いながらテーブルに置かれたビールを飲むアリシャ。マサキは彼女がビールを飲んでいいのか、それが気にかかった。
「あぁ、別にいいのよ。マサキの世界ではどうだかは知らないけど、私たちが住む世界、レイスランドにはそんな決まりはないから。
後、私はこう見えても18なんだから」
18、その単語にいささか興奮を覚えるマサキだが、それは頭の片隅において置いた。
「話しを戻すわね。このレイスランドは今、魔族と人間との戦いが起こっているの。大地は割れ、草木は枯れて作物も年々取れなくなっているわ。
それもこれも魔族との戦いのせいなの。魔族はこのレイスランドから人間を排除し、魔族だけの世界にしようとしているわ。
そうなれば全ての植物は枯れ、動物達は皆死んでしまう」
マサキはいきなりの突拍子な話しであまりついていけてはいないが、とりあえずは頷いておいた。社会人として身に着けたスキルの一つである。
「魔族との戦いは今人間側が厳しいことになってるの。何せ魔族は無限かと思えるくらい出てくるから。あと半年もしないくらいで人間側が追い込まれるわね」
目を細め、ジョッキを強くアリシャは握り締めていた。マサキはアリシャの話しの間にビールを三杯くらいのみ、どちらかと言えば酔っ払っていた。
「そして人間側はある一つの決断を下した。今のままでは魔族には勝てない。だから圧倒的な力を持つ者をこの世界に呼び、その者に世界を救ってもらうと」
マサキは完全に酔っ払い、話しのほとんども理解はしていなかったが、相槌を打つことだけは忘れなかった。
「異世界の住人はレイスランドに召還されると、特別な力を得ることがあるわ。非常に稀なことなのだけれども、マサキ、あなたは特別な力をもっているわ。
理由はこれよ」
そう言ってアリシャは腰に下げていたポーチからビー玉より一回り大きい、ラムネ色の玉を取り出した。
「この玉は貴方みたいな召還された人間にたいして効果を発揮するの。いい、ちょっと見ててね」
アリシャはその玉を指でつまみ、マサキの目の前に突き出した。その瞬間、遠吠えが聞こえた。草原で聞こえていた遠吠えがマサキの耳に響いていた。
「この玉は獣の宝玉というわ。特別な力を持つ人間が近くにいると獣の遠吠えで反応を示すの」
酔っ払いながらも、なんとか理解を示したマサキ。まさか草原で聞こえた遠吠えで自分の力を知るためのものだとは思ってもいなかったので、マサキは
驚き、少しビールをテーブルに噴出した。
「汚いわね。けど理解してくれたかしら。お願い、マサキ。今この世界を救えるのは貴方しかいないの。力を貸してちょうだい」
マサキは快く引き受けようとしたが、何点か疑問に思ったことを聞いた。
「え、あぁ、あなたの特別な力について?それは私にもわからないわ。それはこれからの戦いでわかるとは思うけど、正直今の段階でどんな力かは
私にもわからにの。ごめんなさい」
そういって顔を伏せた。だが、まだ疑問は全部答えてもらっていなかった。
「ごめんなさいね。えと、元の世界に変える方法ね。それはあなたがこの世界を救ってくれたら帰してあげるわ。勝手なことだとは思うけど、お願い」
潤んだ瞳でマサキを見つめるアリシャ。マサキはよく父親に女を泣かせることは最低だと教えられていたので、しかたなしにアリシャの頼みを引き受けた。
「ありがとう、マサキ!改めてよろしくね!」
そういって手を差し出したアリシャ。マサキも手を差し出し、握手を交わした。どこの世界でもこういった事は握手なんだなと、マサキは思った。
「改めて言うわね。私の名前はアリシャ。あなたを待っていた、そしてこれからの戦いを一緒に戦う者よ」
にっこりと微笑むアリシャをマサキは見つめ、いつしか握手していた手は彼女の手を固く握り締めて、痛いといわれ怒られていた。
続く
by nekoneko354
| 2008-11-24 04:55
| 変な小説みたいの